ビタミンCの脆弱性について(研究者D)
ビタミンCの素晴らしい効能。しかし脆弱性が全ての障壁です。
ビタミンCは肌に優れた効能を示す成分であるが、これを製品に適用することは決して簡単なことではありません。ビタミンCの経口摂取では、肌に到達してくれるのは全体の7%程度と言われています。逆にいえば、直接塗れば20倍以上の効果があるわけですが、純粋なビタミンCは 水、空気、光、熱などの外部環境に露出した時、急激にその効能を失ってしまいます(変臭および変色も)。ビタミンCが多少安定に維持できる環境は、Ph 2-3程度の強い酸(Acid)の領域ですが、これ程に強い酸は肌に刺激を誘発することがあるため、製品には使うことができず、これまで、肌に塗るビタミンC製材の開発には成功できなかったのが現状です。
これにはいくつかの詳しい理由があります。
1つはビタミンCをどのように肌に浸透させるのかということ、2つ目はビタミンCの安定性です。よく知られている通り、肌は表皮層と真皮層に分けられますが、外部物質が肌を通過する時の最大の障壁は表皮層です。皮膚透過度は大部分脂溶性が高い物質が有利で、ビタミンCのように水溶性物質は肌への吸収は制限されてしまいます。
また、ビタミンCは安定性が非常に低いため、軟膏や化粧品の形態で短期間しか保存できず、商品化するには難しい点が多いという報告があります。安定性の問題を解決するために、ビタミンCに脂肪酸の一種を結合させた製品が開発されたりもしましたが、物質のサイズが大きすぎるため、まだその効能は未知数です。その他にもL-ascorbate-2-phosphateが開発されたが、やはりその機能はまだ未知数です。最近、ビタミンCにzinc sulfateとL-tyrosineを適正な配合で混合することで、安定性と透過性の問題を解決したという製品が紹介されているが、まだその効能性については検証が必要です(その作用機序に対する明快な説明がまだなされていないため)
ビタミンC誘導体は純粋なビタミンCの効能の50%程度?
まず、 “純粋な”ビタミンCという表現は科学的または辞書の意味の表現というよりは宣伝の側面の表現に過ぎない。純粋なビタミンCは、酸化されていない( un – oxidized )、すなわち活性を持っている( active ) 、といった状態のビタミンCとして捉える。
ビタミンC誘導体は、ビタミンCの不安定性を克服するため作られた化合物であり、その中に含まれるビタミンC自体の不安定性が解決されたわけではない。したがって誘導体は、空気、日光、熱にさらされると容易に酸化される欠点はそのまま維持している。そして何よりも化合物という特性のため、ビタミンCの分子が数千、数万個以上が塊になっている粒子状態なので、肌に塗っても、実際に汗腺や毛穴から皮膚の奥まで吸収されることは非常に限定的である。(ビタミンCの分子が塊にならずにそれぞれが( individually )放出され吸収されれば、汗腺、毛穴から効果的に皮膚の奥まで届けられると思われる)
研究者D