元航空会社の☆riko☆です。最近相次いで機内トラブルが発生していますよね?乗客vs乗客、乗務員vs乗客のトラブル。トラブルがあるとせっかくの旅行も台無しになってしまいますね。私の周りではどうかこのような機内トラブルが起きませんように!と願っていたのですが・・・史上最悪の事件が私の母に起きてしまいました。これは私の母が体験した本当にあった身の毛もよだつこわーい話。
飛行機で隣に座った乗客の態度が悪かったらあなたならどうしますか?!
2017.03.09○○航空683便10:35分発バンコク行きに母は乗り込んだ。
父がバンコクに単身赴任をしている為、2カ月に1回は父に会いに行く為に○○航空を利用している。今回は満席便であった為に座席は42Bの3人掛けの真ん中だったそうだが、後部には座席がなくトイレに行く通路になっており、思う存分リクライニングが出来たようだ。
座席自体には何の文句もなかったが、隣の窓側席に座った関西人のおっさんの態度が非常に怖かったようだ。前の席の女性がリクライニングシートを少し倒そうもんなら
「今は、食事中なんや!!!!」と力づくでシートを戻したり、彼の食事が終わるのを見測り再びリクライニングシートを倒そうとしたら
「うざいんじゃ!ボケ!!!」と怒鳴り散らし再び力づくでシートを戻していたようだ。
母は内心前の女性は災難だな。何時間もリクライニングを出来ずにバンコクまで行くんだなと・・・軽く他人事のように新作映画の「La La Land」や「Moana」をお酒を飲みながら観ていたようだ。
機内で私物がなくなっていたらあなたならどうしますか?
「Moana」を観終わり一旦トイレに行こうと席を立ち、トイレが空くまで列に並んでいる時にふと自分の座席に目をやると・・・!!!!
なんと!!!あの関西人のおっさんが何やらかがんでゴソゴソしているのが見えた。不審に思いながらもトイレを済ませて席につこうとすると「すみません。私もトイレに行かせて下さい。」と満面の笑みを浮かべながら先程の怖い態度とは打って変わって丁寧な言葉で話しかけてきた。ん?何か嫌な予感がする。
そう思い座席の下の自分のハンドバッグを確認すると・・・・一番大事なパスポートはあるが財布がなくなっている!!!私の勘違いだろうか?にわかに信じがたい状況だったので
通路側のサラリーマンに「彼何か変わった様子はありませんでしたか?私のハンドバッグからお財布がなくなっているんです」と聞いても、無言で無表情。このサラリーマンはヤツに脅迫をされているに違いない。このサラリーマンに聞いたところで何の解決にもならない。
私物がなくなっている場合はすぐにCAにトイレを確認してもらう?!
すぐに日本人のCAを呼んだ。(この時まだ関西人のおっさんはトイレの中)
母「今お手洗いに行っている間に財布がなくなっていました。窓側席の男性がかがんでいる姿を、私が立ってトイレを待っている時に見ました。最初からちょっと危ない人だなと思っていました。前の席の女性がリクライニングシートを少し倒すだけで、物凄い剣幕で怒っていました」
前の座席の女性も振り返り「そうよ!とても変だったわ」と一言。
CA「これはとてもセンシティブな問題ですので、まずはその男性がトイレから出てきたら私がゴミ箱をチェックしてみます。ちなみにどのようなお財布ですか?」
母「イブサンローランの薄いグリーンのお財布です」
時をおかずしてCAがビニール手袋をはめたまま手招きをしてくるのでトイレに行くと・・・無惨にもゴミ箱に財布、クレジットカード、健康保険証が投げ捨てられていた。現金3万円、PASMO、タイバーツが抜き取られていた。
母「酷すぎる・・・」と絶句。
CA「写真を撮るので待ってください。上にあげて相談をしますので、窓側席の男性は危険なのでお席を移動して頂いてもよろしいでしょうか?」
そう言われたので、自分の席の上の棚から荷物を降ろし移動をしようとすると
関西人のおっさんはちらっと様子を目だけ動かし伺っていた。
状況証拠だけでは何の証拠にもならない?!
先程のCAがCA3人とパーサー1人と母で飲み物を準備する配膳室で乗客名簿を確認し名前を確認。
日本人でもこんな酷い事をするとは・・・とにかく取られた物全てを取り返したい一心で母は再度関西人のおっさんのところにCAと男性パーサーといくことに。
母「ちょっといいですか?」
関西人のおっさん(少し驚いた様子)「何ですか?」
母「先程私がトイレに立っている間にハンドバッグからお財布が盗まれました。」
関西人のおっさん「ハイ、それで?」
母「あなたがかがんで何やらゴソゴソしているのを私は後ろから見ていました」
関西人のおっさん「はぁー???なんやそれ?俺は靴紐を結んでいただけや。何なら鞄の荷物全部みせましょうか?」とショルダーバッグをあけ、中身1つ1つを広げ始めた。
関西人のおっさん「はいこれが俺の財布でPASMO、SUICA、定期(確かに母の名前ではなくおっさんの名前が書いてあったようだ)
他に日本円10万円、上の棚のバッグには50万円、中華人民元、タイバーツ、鍵、双眼鏡が入っている。何か問題でもある?え?どうすんのよこのあと?俺を犯人扱いして、ハイそうですか。で終わりじゃねーだろうな?」
出典:illust-imt.jp
CA「すみません。お客様はお財布がなくなって動揺をされており、今周りのお客様にもご協力を頂いているんです。」
関西人おっさん(母をにらめつけ)「お前もそっぽを向いてないで謝れよ。何の証拠もないじゃねーか」
母「そうね。紙幣には名前は書けないものね」
関西人おっさん「おまえどうしてくれんだよ?俺を犯人扱いしてこれで済むと思ってるのか?」
CA「お客様とりあえず前のお席に一旦戻りましょう」
そう言われモヤモヤしながらも席についた。
日本製の携帯は海外では非常に高く売れる?!
現金も3万円だけだし、PASMOのチャージも3000円だし・・・状況証拠だけでは無理かと思いながら入国カードを書こうとハンドバッグから携帯を取り出そうと思うと・・・
なんと!携帯もなくなっている事に気が付いた!!!再びCAにスマホもなくなっている事を伝えると・・・
CA「あの男トイレにも20分以上もこもって出てきていません。もしかするとスマホの情報を抜き取っているのかも。スマホのデータを全部消してしまえばお客様の物という証拠がなくなります。本体に名前を刻印していない限りは・・・海外では日本製の携帯かなり高く売れるらしいです・・・」
酷すぎる。せめてスマホだけでも返して欲しい。友達の連絡先、思い出の写真、友達の個人情報、クレジットカードにしても瞬時に情報が抜かれていないだろうか?母はスタッフルームに行き
母「タイ警察に引き渡して欲しい」
CA「1番上のパーサーとパイロットに聞いてみます」
数分後・・・CA「機長がタイ警察に連絡をしてくれました。パスポートコントロールのところで身柄を拘束して警察が取り調べをしますが、お客様もご同行お願い致します。」
状況証拠だけでは不十分の場合は勇気を振り絞って戦い現場を抑えるしかない!!!
座席に再び戻り色々考えた。
あの男をタイ警察に引き渡して何時間も取り調べをしても状況証拠だけでは結局釈放になりスマホも現金も返ってこない。時間の無駄になる上に彼を拘束した結果、彼も予定の仕事が出来なかった事で名誉毀損で裁判になる可能性も?!
ダメだ。もうなんとしてでも現場をおさえるしかない!今ならアイツは私のスマホを持っている!!!覚悟を決めおっさんの隣に座って問い詰める事に!!!マスクをし寝たふりをしているおっさんの座席ポケットを確かめていると・・・
関西人おっさん「何しているんや?」
母「スマホがなくなったから探しているのよ」
彼のスマホを見た時にもしかしたら自分の物では?と思い電源を入れ暗証番号を入れてみる。続けてスマホカバーを外しSIMカードを確かめようとしたら・・・
関西人おっさん「俺のスマホ傷ついただろ!どないしてくれるんや!そりゃ俺もスマホが無くなったら悲しいけど、俺は知らん!ここまで俺を犯人扱いしたんだからお前を訴えるからな!」
母「どうぞ!名誉毀損で訴えたらいいわ!私も弁護士を立てるので。あなたにはとりあえず、バンコクの空港に着いたら警察に取り調べをしてもらうわ!」
関西人おっさん「いいよ。俺は何日でも取り調べを受けてやるから」
母「あなた仕事はどうするの?トランジットでビジネスクラスに乗って仕事に行くと言っていたじゃない!」
関西人おっさん「それは友達に頼むからいいわ!」
こんなやり取りを繰り返しても無駄だと思いまた座席ポケットを調べてみると・・・三省堂のカバーがかかった本を発見!
どんな本を読んでいるのか気になり、開いてみると・・・!母が飛行機に乗る前に買ったバンコクのガイドブックだった。怒りもピークに達し!!!
母「なんであなたが私のガイドブックを持っているのよ?」
関西人おっさん「お前が勝手に入れたんやろ!」
母「ふざけるのもいい加減にしなよ!なんで私が自分のハンドバッグからガイドブックを取り出してアンタの前の座席ポケットに入れるのよ?」
盗んだ物が絶対に見つからない、隠せる場所は座席のシートの下だった!
怒りが収まらずまずは母が座っていた座席のシートを思いっきり剥がしてみることに。
※救命胴衣が入っている場所でシートとマジックテープで固定されており緊急時にしかシートは外さない
すると母の壊されたスマホケースがあったーーーーー!!!
スマホも見つけてやろうと彼の腕を掴み座席を立たせシートを剥がしてみると・・・!
あったーーーーー!!!スマホがあった!!!
機内で大声でスマホがあったと歓声をあげているとCA&パーサー達が駆け寄り、みんなで喜びを噛み締めたようだ。
しかし、うちの母興奮がやまずお金も取り返す事にしたようで(私と本当に性格が似ている笑)
母「ねえ、あんた現金も返してよ。パスモにはチャージ3000円しかなかったから返さなくていいから!現金だけは返しなさい」
関西人おっさん「証拠ねーだろ。」
母「あんたさっき財布に10万、上の棚に50万全部で60万持っているって言っていたじゃない。3万位、屁でもないでしょ!」
関西人おっさん「ふざけるな。俺が3万を稼ぐのにどれだけ苦労をしていると思っているんや。アンタみたいにたまにタイに来てふわふわ遊んでいるような人種とはわけが違うんじゃ」
母「あんたの話とかどうでもいいから早く返して。この事件が起きる前の状態になれば、警察の通報も取り下げてあげるし全部なかった事にしてあげるから」
そう言うとしぶしぶ乗客みんなに見えるように財布を上にあげながら1万円札を3枚、母に渡したようだ。
母はCAに「もうこれでいいです。全部なかったことにしてあげてください。警察もいいです」そう言ってこの事件は幕を閉じたそうだ。
壮絶な6時間にも及ぶ戦いをして全てを取り返した後はCA&パーサー達全員から「congratulation!!!」と言われ抱擁されたそうです笑
まとめ
悪夢の6時間が終わり、バンコクのイミグレーションではおっさんが大きなマスクをかけ不安気に並んでいたようですが、機内で母が通報も取り下げた事で無事に通過出来たようです。
イミグレーションに並ぶ乗客たちは機内で起こった事件を楽し気に「携帯を盗まれただけであんなに騒がなくてもいいのにねー笑」と話していたようですが、6時間にも及ぶ格闘劇も状況も何も知らないで被害者を白い眼で見る世間の冷たさが身に染みたようです。
今後飛行機に乗る際はくれぐれも貴重品は肌身離さず持っている事。そして万一盗難に遭った際は最後の最後まで諦めずに勇気を振り絞って戦って下さい!機内のCAもパーサーも全力であなたをサポートしてくれるでしょう。※画像は全てイメージです。
記:☆riko☆
密室空間で泥棒と戦った悪夢の体験記